大判例

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仙台高等裁判所 昭和24年(を)340号 判決 1950年1月30日

被告人

板橋秀雄

主文

原判決を破棄する。

本件を若松簡易裁判所に差戻す。

理由

職権を以て調査するに原審の確定した事実は、被告人は、法定の除外事由がないのに、昭和二十四年三月初旬頃から同月二十七日頃までの間粳精米を約十五瓩宛三回、約七瓩五百瓦宛十五回に亘り、統制価格を超えて阿部重子に売り渡したといふのであつて、この事実を原審は一罪として処断しているのである。ところが右十五回に亘る売渡行為は、判示三月初旬頃から同月二十七日頃までの間に行はれたものであるから、特段の事情の認めらるべきものがない限り併合罪と認めるのが相当であつて、原審挙示の証拠に依るも、それが単一の犯意の発現たる一連の動作と認むべき別段の事由を発見し得ないのである。然らば、右のような事実関係においては、これを併合罪と認定するのが相当であつて、一罪として認定すべきものではない。それ故原審が証拠上別段の事由の認められないのに拘らず、右十五回の売渡行為を一個の犯罪行為と認定したことは、実験則に反して事実を認定した違法があるといはねばならない。

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